3行要約(結論)
- 薬膳は体質と今の状態に合わせて食材と生薬を選ぶ食の方法。
- 腎は生命の土台。成長、生殖、水分バランス、呼吸の吸い込みを支える。骨・脳・耳・歯・髪とも関係が深い。
- 腎の弱り方は大きく5タイプ。温める、潤す、精を養う、締める、呼吸を納めるのいずれを優先するかを決めて食べ方を選ぶ。
薬膳とは
薬膳は「医食同源」の考え方にもとづき、体質や症状に合わせて食材と生薬を組み合わせ、調理して整えていく食の実践です。漢方薬が処方として飲むのに対し、薬膳は料理として食べるのが基本です。
献立の立て方(かんたん版)
- 観察:顔色や舌、睡眠、便・尿、むくみ、体感の冷えやほてりをチェック。
- タイプ決め:どの腎タイプが中心かを見立てる。
- 方向性の決定:温める・潤す・巡らす・締める・呼吸を納める等。
- 食材と調理法:性質が合う食材を選び、煮る・蒸す・スープなど作り方を決める。
腎の役割(やさしく)
- 成長と発育の土台になる。
- 生殖のエネルギー源になる。
- 水分バランスを調整する(むくみ・頻尿などに関係)。
- 納気=吸った空気を下に引き込む働き(息切れに関係)。
- 関連が深い部位:骨・脳(髄)・耳・歯・髪・唾液・泌尿生殖器
腎の力は年齢とともに少しずつ下がります。だからこそ、日々の食でメンテナンスすることが大切です。
腎の弱り方 5タイプ|セルフチェック
1.腎陽虚(冷え・代謝ダウン)
- 足腰が冷える・だるい、顔色が白い、めまい
- 下半身がむくむ、明け方に下痢
- 咳やぜんそくが長引く
方向性:温めて巡らす
おすすめ:羊肉、エビ、にら、ネギ、山芋、くるみ、栗
一品例:羊肉とにらの生姜スープ(弱火でコトコト温かく)
2.腎陰虚(ほてり・乾燥)
- 腰の鈍痛、めまい・耳鳴り
- 寝汗、浅い眠り、多夢
- 手のひらや足の裏が熱っぽい、口渇、やせやすい
方向性:潤して養う
おすすめ:山芋、豚肉、鶏肉、うなぎ、黒ごま、ささげ、白きくらげ、枸杞子、すっぽん
一品例:山芋と豚肉のとろみ煮+黒ごま
3.腎精不足(エネルギータンク不足)
- 発育や回復が遅い、脱毛、物忘れ
- 不妊や更年期の不調が気になる
方向性:精を養い髄を満たす
おすすめ:熟地黄、黄精、冬虫夏草、山芋、黒米、なつめ、蓮の実
一品例:山薬(山芋)と蓮の実のおかゆ
4.腎気不固(締める力が弱い)
- 頻尿、残尿感、尿もれ
- 精が漏れやすい、流産をくり返す傾向
方向性:固めて引き締める+やさしく温める
おすすめ:牡蠣、杜仲、烏薬、鶏肉、山芋
一品例:牡蠣と山芋の蒸し物(生姜を少し)
5.腎不納気(呼吸を下へ納められない)
- 咳が長引く、汗が多い、足腰がだるい
方向性:腎を補い、肺を潤して咳をしずめる
おすすめ:白きくらげ、杏仁、山薬、熟地黄、梨
一品例:白きくらげと杏仁の梨スープ
よくあるつまずき
- 温めたいのに刺激で一時的に温め過ぎる:辛味やアルコールでの無理なブーストは後で消耗しやすい。温性の食材を料理でじんわり。
- 潤したいのに強壮ドリンクを多用:乾燥が悪化しやすい。スープやとろみ料理で潤いを。
- 体質は混在が普通:季節と年齢で揺れます。月単位で微調整しましょう。
今日からの実践メニュー例
- 朝:黒ごま+きくらげ+卵の味噌汁、または山芋入りおかゆ
- 昼:豚肉と山芋のとろみ丼、または鶏むねと蓮の実スープ
- 夜:羊肉とにらの鍋、または牡蠣と山芋の蒸し物
- 間食:くるみ、なつめ、ライチを体質に合わせて少量
よくある質問
Q1.どれくらいで体感が出ますか。
A.食の効果はじわじわです。まずは2〜4週間、同じ方向性で続けて体温・睡眠・尿・便・むくみの変化をメモしましょう。
Q2.サプリや市販ドリンクは使ってもよいですか。
A.体質に合えば一部は可。ただし刺激が強い強壮系は腎陰虚を悪化させやすいので、料理中心を基本にしましょう。
Q3.医療との併用は可能ですか。
A.可能です。妊娠中や持病・服薬中は主治医に相談のうえ進めてください。
検索のヒント
腎を強くする食べ物/腎虚の食事/冷え むくみ 食材/寝汗 ほてり 対策/腎陽虚 腎陰虚 ちがい/耳鳴りと腎/頻尿 食事/白きくらげ 咳/山芋 効能/体質改善 食事 中医学 薬膳
本記事は一般的な健康情報です。症状が強い場合は医療機関にご相談ください。

Comments