医療の本質は、診断や投薬の「一回きり」で終わりません。観察→フィードバック→再設計という循環を、患者と医療者が共に回すこと。それが私の提案する「フィードバック医療」です。
- 原因ではなく結果だけを追う医療に違和感。薬は本来、増えるのではなく減っていくはず。
- 予防医療にも「フォロー不足」という課題。必要なのは観察→フィードバック→再設計の循環。
- 依存から自立へ。自分の体を自分で観察、判断できる人を増やすことが目標。
table of contents
なぜ、疑問を持ち続けたのか
20年以上、薬剤師として医療現場に立ち続けてきました。ずっと胸の奥で消えなかった疑問があります。
「なぜ、病院では病気の『原因』ではなく『結果』ばかりを追うのか?」
多くの患者さんは、薬をもらって症状が落ち着くと安心して帰ります。しかし通院を続けるうちに、薬の数は増える一方。本来は減っていくはずの薬が、増えていく。やがて副作用(医原病)による心疾患などで命を落とすケースも少なくありません。
私が子どものころ信じていた「病院は病気を治す場所」という前提は、現実とかけ離れていました。新人時代からの違和感は消えず、私を次のステージへと導きました。
予防医療の現場で見たもう一つの課題
「病気になる前に防ぐ」ため、私は未病、予防医療の世界へ足を踏み入れました。ところが、そこにも別の問題がありました。
フォローがないのです。
高額な自費検査や最先端の機器を使っても、結果の解釈や原因の特定、フォローアップが伴わない。患者さんは情報の海に投げ出され、迷い、また別の医療へ流れていく。
そこで確信しました。医療に欠けているのは「一回きりの診断」ではなく、「観察→フィードバック→再設計」という循環型の医療だと。
フィードバック医療という道
1回の診察で完璧に原因を突き止められる医師は、もはや「神」に近い存在です。現実には、対話を重ね、反応を見ながら仮説を立て、修正していくプロセスが必要です。それこそが本来の医療の姿だと考えます。
私はこれを「フィードバック医療」と呼びます。ただし課題は、手間と時間がかかること。一人ひとりに丁寧に対応すれば、ビジネスとしては成り立ちにくい。だからこそ、ネットやAI、人の協働による新しい支援の形を模索しています。
フィードバック医療の骨子
What(何を観察するか): 症状だけでなく、生活リズム、水分、食事、睡眠、ストレス、環境変化などの文脈を記録する。
Why(なぜ起きたか): 時系列で因果を仮説化。増悪、寛解のトリガーを洗い出し、優先度をつける。
When(いつ見直すか): 一定周期で観察→フィードバック→再設計。短期は週次、長期は月次、季節単位で見直す。
依存から自立へ
医療知識がないままでは、医師や医療従事者の指示に依存しやすくなります。しかし、自分の体を一番よく観察できるのは自分自身です。だからこそ、知識を身につけ、日々の変化に応じて「観察、分析、判断、行動」できる自立人材を増やしたいと考えています。
理想論だと言われるかもしれません。それでも、時間をかけて育てることが私の役割です。
今日からできる自立のミニ手順
観察:起床時刻、睡眠時間、体温感、むくみ、食事内容、気分を簡潔にメモ。
分析:不調日の共通点(前日の就寝時刻、塩分、ストレス、運動量など)を丸で囲む。
判断:次の7日間に試す小さな変更を1つだけ決める。
行動:1週間後に効果判定。効いたら継続、効かなければ別の仮説へ。
私の意思(石)
私は医師ではありません。それでも、臨床家、観察者として、いま目の前の一人に誠実に向き合います。完璧を求めず、できることから始める。一人の行動が社会に小さな波を起こし、その波がやがて大きな変化につながることを信じています。
私は今日も、社会に意志(石)を投げ続けます。たとえその波が小さくても、確かに広がっていくと信じて。

Comments