「最近なんとなく体がだるい」「季節の変わり目に調子を崩す」
そんなあなたに届けたい、古代中国の知恵があります。
それが、中国最古の医学書『黄帝内経(こうていだいけい)』に書かれた
「生気通天論篇(せいきつうてんろんへん)」という章です。
この章は、現代の予防医学にも通じる「病まない体をつくる方法」を教えてくれます。
「生気」とは、命を動かすエネルギー
「生気(せいき)」とは、生命活動を支える“気”のこと。
そして「通天(つうてん)」とは、自然界=「天」とつながり、調和して生きること。
『黄帝内経』では、すべての人の命は天の気とつながっており、
それぞれの五臓・関節・体の穴(目・耳・鼻・口など)もまた、自然の法則に従って動いていると説かれています。
これが、古代中国の健康観「天人相応(てんじんそうおう)」です。
陽気とは、命を守る“太陽の気”
人間の命を守っているのが「陽気(ようき)」です。
陽気は、体を温め、外敵から守り、体の機能を巡らせる力。
これが弱ると、免疫力も落ち、あらゆる病にかかりやすくなります。
外邪(風・寒・湿・暑)の影響
- 寒邪:体が縮こまり、筋肉や神経がこわばる
- 暑邪:汗が出すぎて気が散じ、呼吸が乱れる
- 湿邪:頭が重くなり、体がだるくなる
- 風邪:関節が痛み、少しの刺激で寒気がする
これらが重なれば、「痹(ひ)」という関節痛やしびれにつながります。
汗と疲労に要注意
汗をかきすぎたり、過労によって陽気を消耗してしまうと、
体表のバリア「腠理(そうり)」が開き、外邪が入りやすくなります。
皮膚・筋・関節・神経・感覚器にさまざまな不調が現れ、
長引けば「風痺(ふうひ)」という慢性症状になることも。
陽気を守るために必要な生活とは?
陽気を守るためには、「静」と「蔵」が重要です。
- 心を静かに保つ
- 汗をかきすぎない
- 夜はしっかり休む
- 季節に応じた暮らしをする
これらを意識するだけで、病を防ぐ体をつくることができます。
陰陽バランスが崩れるとどうなる?
東洋医学では「陰陽の調和」が健康の鍵とされています。
陰虚の状態(陰が不足)
- 体が熱っぽくなる
- 汗が出やすくなる
- 寒邪が入りやすくなる
陽虚の状態(陽が不足)
- 体が冷える
- 感覚が鈍くなる
- 気の流れが滞る
このバランスが乱れたままだと、精神や身体機能にさまざまな不調が現れます。
食べすぎ・味の偏りも病のもと
食べすぎや五味の偏りは、五臓を傷つけ、気血の巡りを妨げます。
- 血が薄くなる
- 筋肉がこわばる
- 皮膚が乾燥する
- 精神が不安定になる
消化器が疲れ、水分代謝が崩れ、真気(生命エネルギー)も損なわれます。
四季に合わせて生きることが、病を防ぐ鍵
季節に応じた生活の基本
- 春:邪気を発散させる「発」
- 夏:陽気を伸ばす「長」
- 秋:収めて整理する「収」
- 冬:気を閉じる「蔵」
これらを実践することで、次の季節の病を予防できます。
まとめ|自然と調和して生きることが最高の健康法
『黄帝内経』は、病気を治す前に「病気にならない生き方」を教えてくれます。
陽気を守り、陰陽を調え、外邪を防ぎ、食を慎み、四季に寄り添う。
それが、現代人にも通じる“養生”の知恵です。
あなたも今日から、自分の体と自然の声に耳を傾けてみませんか?
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