ストレスで増える細胞、休むと増える細胞

好中球×リンパ球×自律神経をやさしく理解する

「交感神経=アクセル」「副交感神経=ブレーキ」。この運転モードの切り替えは、心拍や消化だけでなく免疫細胞にもはっきり影響します。


目次

1) まずは配役を覚えよう

  • 好中球:現場に真っ先に駆けつける「消防隊」。炎症の立ち上げや異物の初期対応が得意。
  • リンパ球:作戦立案と記憶の「司令塔」。的確に標的を狙う(T細胞・B細胞など)。

そして指揮系統が自律神経

  • 交感神経(アクセル/ストレス対応)が優位になると、好中球が動員されやすい。
  • 副交感神経(ブレーキ/回復・休息)が優位だと、リンパ球が働きやすい。

この傾向はヒトの研究でも繰り返し観察されています。


2) NLRってなに?(NLR = 好中球/リンパ球比)

NLR(好中球/リンパ球比)= 好中球数 ÷ リンパ球数。ふつうの血液検査の内訳から計算できます。

  • NLRが高い → 交感神経の緊張、炎症・ストレス反応が強めのサインになりうる。
  • NLRが低い → 回復モード(副交感神経)の影響が見えやすいことも。

ただし、感染・寝不足・薬(ステロイド等)・運動直後などでもNLRは動きます。
1回の数値だけで断定しないのが大原則です。


3) 神経と免疫は「会話」している

免疫細胞には神経伝達物質の受容体があり、神経からのサインで活動が変化します。

  • 交感神経のメッセンジャー:ノルアドレナリン/アドレナリン
  • 副交感神経(迷走神経)のメッセンジャー:アセチルコリン

おもしろいのは、免疫細胞側もドーパミンやノルアドレナリンをつくって返事すること。つまり双方向のやりとりです。
この「会話」の乱れ(例:運動後の心拍回復が遅い=HRR遅延)は、NLR高値や炎症の強まりと関連するという報告もあります。


4) どんな場面で役に立つ?

  • コンディション把握:NLRは、慢性的なストレスや炎症の「空気感」をつかむ補助指標に。
  • 疾患との関連:たとえば糖尿病で自律神経障害がある人は、NLRが高めになりやすいというデータがあります。
  • 神経と痛み:好中球は末梢神経の活性や痛み反応にも関与。神経炎症の研究分野でも注目されています。

補足:現場メモ(私の観察と運用)

私は神宮前統合医療クリニック200人以上の血液データを見てきました。自律神経の乱れや炎症の傾向を読む補助線として、白血球分画(%)は次の「理想域の目安」を参考にしています。

  • 好中球:50–60%
  • リンパ球:35–40%

評価のときは、NLR(好中球/リンパ球比)や自覚症状、睡眠・運動の記録とあわせて経時変化を重視します。
また、採血時刻も必ず確認します。日中と夕方では自律神経の挙動が異なるため、できるだけ同じ時間帯での比較を心がけています。

※上記は私の臨床運用上の目安です。年齢・急性の感染・薬剤(例:ステロイド)・脱水、そして検査機関の基準値により適正域は変動します。診断や治療は必ず主治医とご相談ください。


5) 今日からできる「やさしい実践」

医療行為ではなく一般的なセルフケアのヒントです。解釈は必ず医療者と相談を。

(A) 検査結果の見かた(メモ)

  • 血液検査の「好中球」「リンパ球」からNLR=好中球÷リンパ球を計算。
  • 解釈は経過でみる/体調とセットで記録が基本。

(B) 副交感神経にスイッチを入れる習慣

  • ゆっくり呼吸:4–6秒吸って6–8秒吐くを2–3分。
  • 軽い有酸素:食後の10–15分の速歩。
  • 睡眠:寝る直前のスマホやカフェインを控える。
  • 心のリセット:笑う、自然に触れる、短時間の瞑想。

(C) 交感神経を上げっぱなしにしない

  • 連日ハードトレばかりにしない(強弱の波をつくる)。
  • 不安をあおる情報の“浴びすぎ”を避ける。
  • 体調不良や発熱時は回復最優先。NLRの上下は“当然の反応”として受け止める。

よくある質問(サクッと回答)

Q. NLRが高い=病気ですか? A. いいえ。状況(感染・睡眠不足・運動直後・薬)で動くので、単発では判断しません。主治医と推移で見ます。

Q. サプリでNLRを下げられますか? A. 現時点で特定サプリの決定打は不明。まずは生活リズム・睡眠・ストレス対策が土台です。

Q. いつ測るのがよい? A. 同じ条件・同じ時間帯で測ると比較がしやすいです(前日の運動量や睡眠もメモ)。


まとめ(今日の気づき)

  • 交感神経が優位だと好中球↑副交感神経が優位だとリンパ球↑になりやすい。
  • NLR(好中球÷リンパ球)は、炎症・ストレス・自律神経バランスの“ざっくり鏡”
  • 数字は文脈が命。体調・睡眠・運動・薬の影響を考え、経過で観察しよう。
  • できることはシンプル:呼吸・歩く・眠る・整える。その積み重ねが、自律神経と免疫の“会話の質”をよくしていきます。

参考リンク

https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11222997

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28807718

https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC7023896

https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0889159117303987

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34161115

https://www.nature.com/articles/s41698-025-00957-y

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/lio2.1161

https://www.frontiersin.org/journals/neurology/articles/10.3389/fneur.2025.1498007/full

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjpm/40/8/40_KJ00002387599/_pdf/-char/ja

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/jdi.12541

本記事は研究の要点を一般向けに再構成した解説です。診断や治療は必ず医療機関でご相談ください。

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この記事を書いた人

帝京大学大学院薬学研究科卒業(生物有機化学専攻)。薬剤師として20年以上、総合病院門前薬局や在宅医療に従事。東洋医学、脳機能学、量子医療を学び、2024年7月より神宮前統合医療クリニックにて精密栄養カウンセラーとして活動開始。血液、遺伝子、ウェアラブルデータを活用し、薬、サプリ、食事を統合した個別最適な健康アプローチを提供。各分野のスペシャリストと連携し、科学と伝統医学を融合させ、一人ひとりに最適な健康を導くことに尽力している。

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