「この薬、いつまで飲めばいいんですか?」

薬剤師として現場にいると、この質問を本当によく受けます。数値は安定しているのに不安が消えない。やめたい気持ちはあるのに、悪化が怖い。

最初に結論を言います。

結論

  • 薬を続ける期間は「病名」ではなく「薬が担っている役割」で決まります
  • 慢性病の薬の多くは「一生」ではなく、出口設計がされていないだけです
  • 薬は補助的な道具です。目的と身体の状態に合わせてカスタマイズしましょう
目次

まず整理:薬は3タイプに分けると迷いが減る

「いつまで飲むか」を考えるときは、薬を3つに分けると見通しが良くなります。

1.ゴールが最初から決まっている薬(短期で役目を終えやすい)

  • 感染症の治療に使う薬
  • 強い痛みや炎症を抑える薬
  • 急性の胃腸症状に対する薬

基本は、症状や炎症が落ち着いたら役目を終えます。惰性で長期化している場合は、見直しの余地があります。

2.条件が整えば減らせる薬(慢性期で出口が作れることがある)

  • 高血圧
  • 脂質異常症
  • 糖尿病(状態により)
  • 睡眠薬、抗不安薬、胃薬の長期化

これらは「治している」というより、進行やリスクを抑えていることが多いです。生活、睡眠、ストレス、体質が整ってくると、薬の役割が小さくなり、減薬の余地が出ることがあります。

3.補充療法など、やめにくい薬(前提が違う)

  • インスリン補充が必須なケース
  • 甲状腺ホルモン補充が不可欠なケース
  • 特定疾患など、代替がきかない治療

ここを自己判断で止めるのは減薬ではなく事故になり得ます。出口を作る話と、前提が違います。


「減らせたのに減らせなかった人」の典型

現場で何度も見てきたのは、次のような構図です。

よくあるパターン

  • 医師の言われるまま薬を飲み続ける
  • 体の状態を見ず、血液検査の「数値合わせ」が目的化する
  • 数値が安定している安心感で、暴飲暴食を繰り返す

生活習慣病(高血圧・脂質異常症・糖尿病)の方で、特に50歳以上に多い印象があります。薬で数値が抑えられていることを免罪符にしてしまい、結果として糖尿病が悪化し、失明、透析、切断など取り返しのつかない状態に至るケースもあります。

これは薬が悪いのではありません。慢性病の薬は「進行を食い止めている」ことが多い。だから本来は、生活習慣を整えながら薬を減らしていく設計が望ましいのです。

ただし現実として、保険診療では患者が集中し、医師が一人にかけられる時間が限られます。生活まで伴走するのが難しい構造があります。これは「誰が悪い」ではなく、仕組みの問題です。


逆に「今はやめるべきではない」場面もある

私は西洋薬を否定しません。むしろ、使うべき局面では迷わず使うべきだと考えています。

自己判断で触らない条件

  • 急性症状の最中
  • 病気の活動期
  • 補充療法が必要な治療(インスリン、甲状腺ホルモンなど)
  • リスクが高い時期(年齢、血管リスク、既往など)

実際に、週刊誌の記事(薬の弊害)を信じ込み、医師にも相談せずに血圧の薬を中止し、脳出血を起こして左半身不随と記憶障害が残った例を身近で見ました。

年齢とともに血管は脆くなります。リスクがあるときは、迷わず西洋薬を使う。これも大切な判断です。


私の薬との距離感が変わった瞬間

私が薬との距離感が変わったのは、末期がんの患者さんに抗がん剤を投与し、血球がほぼゼロになり、結果として死を早めてしまった現実を目の当たりにしたときです。

西洋医学は強力です。しかし、万能ではありません。大切なのは「今このタイミングで、この道具が最適か」です。

そこから私は、世界中の最先端医療、予防医療、東洋医学を学びました。そして確信しているのは観察力の重要性です。今は東洋医学と西洋医学をミックスして使うことが多いです。


見極めの判断軸:統合して見る、目的から逆算する

私は、医師の指導のもとで、可能な限り多くの情報を統合して判断します。

  • 血液検査
  • 遺伝子検査
  • エコー、CTなど画像
  • 東洋医学の四診
  • 生活環境
  • 心のあり方
  • 人間関係
  • 仕事のストレス構造

目の前の人が、このタイミングで、この道具を使うのが最適か。

そしてもう一つ大事なのが、目的です。何のために薬を使うのか。長く生きたいのか。パフォーマンスを保ちたいのか。安心して眠りたいのか。目的が曖昧だと、判断も曖昧になります。


実例:薬は「橋渡し」として使う

60代男性から、こんな相談を受けました。

相談内容

  • 善玉も悪玉もコレステロールが高い
  • 医師からコレステロールの薬を勧められている
  • 良質な食事を1日1回、約5年継続
  • 毎週山登り、筋肉質

生活背景を聞くと、弟子の育成と日々の業務でほぼ休めず、常に交感神経が興奮している状態でした。男性ホルモンの原材料はコレステロールです。身体は生活に適応するため、コレステロールを作り出す方向に進むことがあります。

一方で、コレステロールが高いと酸化が進み、動脈硬化のリスクも上がります。高血圧傾向もある。目的が「長く生きてパフォーマンスを保つ」なら、西洋薬の選択を含めてリスクを下げる判断が必要です。

私なら、医師と相談した上で弱めのスタチン系を使いつつ、東洋医学では田七人参などで血管を支える方向を提案します。食事はすでにバランスが取れている場合、むやみに崩さないことも大事です。


誤解してほしくないこと

「西洋医学は悪」という情報に踊らされないでください。

共通の敵を作り、マーケティングで売り上げを上げようとする人たちもいます。西洋医学、東洋医学、民間療法は、行き着く先は同じで、ルートが違うだけです。

大切なのは、理屈より観察です。目の前の人間の状態観察が最重要です。


読者が使える:続けるべき薬、終われる薬のチェックリスト

医師に確認したい3つ

  • この薬の目的は何か(症状緩和か、再発予防か、リスク低減か)
  • どの状態になったら減らせるか(出口条件)
  • 減らすなら、量と期間をどう設計するか

自己判断で触らない条件(再掲)

  • 急性症状、病気の活動期
  • 補充療法が必要な疾患(インスリン、甲状腺ホルモンなど)
  • リスクが高い時期(年齢、血管リスク、既往など)

まとめ

最後に一言

薬は補助的な道具であり、自身の身体の状態に合わせてカスタマイズしましょう。目的も大事です。

やめることが正解ではありません。続けることが正解でもありません。何のために、どう使うか。その判断を、医師や専門家と相談しながら取り戻していくことが、結果的にあなたの健康と人生の自由度を上げます。


よくある質問(FAQ)

Q.数値が良くなったら薬をやめてもいいですか?

A.数値が良いのが薬の効果による可能性があります。薬なしでも同じ状態を再現できるか、悪化時の判断基準は何かを主治医と確認した上で検討します。

Q.自己判断で中止すると何が危険ですか?

A.血圧、血糖、ホルモンなどは急変で重大な合併症につながることがあります。特に病気の活動期や補充療法では、自己判断は事故になり得ます。

Q.西洋薬と東洋医学は両立しますか?

A.目的と状態が合っていれば両立します。対立ではなく観察が優先です。今の身体に最適な道具を選ぶことが大切です。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。治療の開始・中止・変更は、必ず主治医や専門家と相談の上で行ってください。

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この記事を書いた人

帝京大学大学院薬学研究科卒業(生物有機化学専攻)。薬剤師として20年以上、総合病院門前薬局や在宅医療に従事。東洋医学、脳機能学、量子医療を学び、2024年7月より神宮前統合医療クリニックにて精密栄養カウンセラーとして活動開始。血液、遺伝子、ウェアラブルデータを活用し、薬、サプリ、食事を統合した個別最適な健康アプローチを提供。各分野のスペシャリストと連携し、科学と伝統医学を融合させ、一人ひとりに最適な健康を導くことに尽力している。

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