怒りの正体は、目の前の大人ではなく泣いている赤ちゃんだった

薬局の現場は、静かに心が削られる場所でもあります。
ミス、謝罪、クレーム、空気の緊張。
その中で私が一度、感情を爆発させてしまった出来事と、そこから得た気づきをまとめます。

この記事で得られること

  • 怒りが湧く仕組みを、自分責めではなく成長の材料に変える視点
  • 相手に振り回されないための、心の置きどころ
  • 許すことと、育てることを両立するコツ
目次

薬局で起きた、あの瞬間

最近、薬局でミスを多発し、患者さんにご迷惑をおかけすることが続いた女性スタッフがいました。
ミスをしているのに本人が患者さんに謝らず、なぜか私が患者さんへ謝罪を続ける。
一見すると責任を押し付けられているような、不条理な状態です。

その蓄積した怒りが、ある日ふいに爆発しました。
今思えば、相手に怒ったというより、理不尽な状況に耐え続けてきた自分自身の限界だったのかもしれません。

怒りは、相手を傷つける前に自分を蝕む

怒りは、心の三毒の一つと言われます。
相手も傷つくし、自分も傷つく。
さらに厄介なのは、思い出せば思い出すほど体を蝕んでいくことです。

ここで一度、問い直しました

物事は必ず、自分の魂の成長を促すための気づきである。
ならば次は、どのように在ればいいのか。

視点を変える方法:相手を赤ちゃんだと思う

私が試したのは、相手を赤ちゃんだと思うことでした。
これは馬鹿にするためではありません。
誰もが人生の中で通ってきた、純粋無垢な赤ちゃんを思い出すための方法です。

人は、生活環境、親、人間関係、さまざまな縁によって自我が形成されていきます。
目の前の人は、自我という鎧をまとった存在です。
その鎧を外したところを想像すると、まだ自我が未完成な赤ちゃんがいる。

赤ちゃんがミスしたと思えば、私たちは本気で憎みません。
何とも思わないどころか、慈しみの心さえ出てきます。

クレーマーも同じ:自我の鎧をかぶった赤ちゃん

クレーマーも、同じようにさまざまな生活環境で自我が形成され、言わされているのかもしれません。
自我の鎧をかぶった赤ちゃんだと思えば、対応が変わります。
出てくる言葉も変わってきます。

ポイント

  • 相手の言葉に飲まれそうなときほど、相手の背景を想像する
  • 攻撃は、弱さの防衛反応として現れることがある
  • 心の距離を取るために、見方を変える

許すことと、育てることは別

ただ、何でもミスを許していたら、その人は成長しません。
感情に流されて怒るのではなく、必要なタイミングで必要な情報を伝える。
相手の成長を促しながら叱るという姿勢が大事だと感じました。

怒ると叱るの違い

  • 怒る:自分の感情を放つ。相手も自分も傷つく
  • 叱る:相手の成長を願い、必要な情報を渡す

理想論かもしれない。でも現場は成長の場でもある

耐えながら、お互いが成長する機会。
そう捉えると、教える側である私の伝え方にも改善の余地が見えてきます。
伝え方を工夫しながら、同じ場に立ち続けたいと思いました。

参考:道元禅師の教え「愛語」

こんなときに思い出すのが、道元禅師の言う愛語です。
愛語とは、うわべの優しい言葉遣いではなく、慈しみの心を土台にした言葉の使い方だとされています。

徳のある人に出会ったら敬い、徳のない人に出会ったらかわいそうだと思いなさい。
敵の怒りを解きほぐすのも、人格者に善き心を自覚させるのも、愛語の力である。

次に困ったことを言ってくる人に出会ったら、こう想像してみてください。
この人は赤ちゃんの頃、どんな顔をしていたのだろう。
それだけで、肩の力が少し抜けることがあります。

よくある質問

相手を赤ちゃんだと思うと、なめられませんか

なめられないためには、優しくすることと線引きをすることを分けるのがコツです。
心は慈悲で、行動は具体で。必要な注意やルールは淡々と伝えます。

どうしても怒りが収まらないときはどうしますか

まず体の反応を落ち着かせます。深呼吸、姿勢を整える、水を飲む。
その上で、起きた事実と自分の感情を切り分けて言語化します。
事実:何が起きたか。感情:何が苦しかったか。次:何を改善するか。

叱るときに気をつけることはありますか

人格ではなく行動に焦点を当て、改善策をセットで伝えます。
伝える順番はおすすめがあります。
1 事実 2 影響 3 期待 4 次の一手

最後に

怒りは敵ではありません。
ただ、そのまま握りしめると毒になります。
見方を変え、言葉を整え、必要な境界線を引く。
その繰り返しが、現場での自分を守り、相手の成長にもつながっていくと私は感じています。

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この記事を書いた人

小島 義教

薬剤師/中西医統合実践家

薬剤師として20年以上、総合病院前の薬局や在宅医療の現場で、多くの方の健康相談に関わってきました。

自身が薬剤性肝障害を経験したことをきっかけに、健康法を増やす前に、まず今の身体で何が起きているのかを整理する「体質整理」という考え方を大切にしています。

現在は文海先生とともに、血液データ、生活背景、睡眠、食事、便や尿などの日々の身体の反応を重ねながら、身体を一つの症状だけで決めないための中西医統合の視点を発信しています。

このブログでは、薬剤師としての知識だけでなく、自分自身の体質ログや迷い、臨床で学んだことも交えながら、身体を責めずに次の一歩を考えるためのヒントをお届けします。

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