必死に探しても見つからないとき、答えは行動と出会いの中から静かに立ち上がってくる。これは私がその瞬間をつかむまでの記録です。
「自分のやりたいことって何だろう?」そう思ったことはありませんか。私も長く答えを探してきました。けれど、やりたいことは机の上の思考ではなく、現実の体験と人との出会いの中で突然“浮かび上がる”、そう実感した出来事があります。
後悔の声を聞いた日
昔、元彼女のお父さんががんで亡くなる前に、こう話してくれました。「本当は蕎麦屋をやりたかった。でも親に言われてペンキ屋を継いだ。生活は安定したけど、やりたいことはできなかった」。仕事で扱っていた化学物質が病気を悪化させた可能性もあり、彼は深く悔やんでいました。私は胸が締めつけられ、『自分はやりたいことをやって生きる』と心に誓いました。
まずはファッションの世界へ
そのとき頭に浮かんだ「やりたいこと」は二つ。ひとつはファッションデザイン、もうひとつは病気を防ぐこと。最初に動き出したのはファッションでした。日本各地の職人さんに会い、天然の染料で色を生み、木の道具や布の作品をつくる。パリにも足を運び、都内の百貨店に商品が並ぶ経験もしました。
手応えがある一方で、心の奥では別の声が響いていました。「人が病気で後悔しないように、何ができるだろう」。私は健康の世界へ舵を切ります。
西洋医学の限界を知り、世界へ
お父さんの死をきっかけに、西洋医学の限界を感じました。症状を抑えるのは得意でも、「なぜ病気になったのか」を突き止めて防ぐのは苦手。私はその“穴”を埋めるために会社を辞め、世界を回って予防医療を学びました。自然療法、栄養学、東洋医学、遺伝子の視点、第一線の専門家に会い、施術を受け、身をもって体験しました。
そこで得た結論はシンプルです。どんなに優れた方法でも、その人に合っていなければ意味がない。健康法は「流行」ではなく「適合」が鍵だと確信しました。
個人統合医療の始まり
その確信を最初に形にしたのは、一人暮らしのおばあちゃんを助けたとき。足に合うインソールを作り、簡単な運動を始めました。首の血管の異変に気づいてすぐ病院を紹介すると、心臓が通常の約3倍に膨らんでいることが判明。投薬で落ち着いた後は、孤独や家族の問題といった“心”のケアにも取り組みました。
私は学びました。体の骨や筋肉(運動器)、血液や循環(内側の状態)、そして心、この三つがそろって初めて、本当の回復に向かえる。これが私の「個人統合医療」の原点です。
行動は小さくてもいい
人の人生や健康を100%救える人はいません。けれど、そばに寄り添い、必要な考え方や道具を一緒に選び、できることから始めることはできます。私が大切にしているのは、「今、この人のために私ができる最大限は何か」という問いです。答えはいつも、行動の中にあります。
今日からできる小さな一歩:人の話を丁寧に聴く/困っている誰かに5分だけ手を貸す/終わったら感じたことを3行メモする。小さく始めて続けると、やりたいことは自然に“浮かび上がって”きます。
机の上で考え続けるより、動きながら突然見えてくる。私は、その瞬間を信じています。

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