疲れたとき、最初に増やすべきものは「対策」ではない健康法を足す前に、身体を整理する

この記事で伝えたいこと

  • 疲れたとき、つい栄養やサプリメント、漢方、運動などを足したくなります。
  • けれど対策を同時に増やすほど、身体が何に反応しているのかは見えにくくなります。
  • 最初に増やしたいのは、対策の数ではなく、自分の身体を観察する時間かもしれません。
目次

何かを足さなければ、と思った朝

「疲れた」

そう感じた朝、私がまず考えることは、だいたい決まっていました。

何を飲もう。
何を食べよう。
何を始めよう。

薬剤師として長く働いてきたせいか、疲れを感じると、反射的に「足すもの」を探してしまいます。

新しいサプリメント。
評判のいい栄養ドリンク。
身体によさそうな食べ方。

疲れの正体を確かめる前に、手が先に動いていました。

私の場合、甘いものや外食が重なった時期には、
食後の眠気。
お腹の張り。
翌朝まで残るだるさ。
足のむくみ感。
鼻や喉の粘り。
こうした反応が、一つながりのように出ることがあります。

以前なら、足のむくみだけを見て、
「水分の問題だろう」と考え、
食後の眠気だけを見て、
「疲れているのだろう」と片づけ、
そのたびに、
何を飲むか、何を足すかを探していました。

今は、原因を一つに決める前に、
食後の反応、胃腸、便や尿、睡眠、朝の身体の重さを、
一度並べて見るようにしています。

疲れたときほど、対策を重ねてしまう

健康に真面目な人ほど、足していくものが増えていきます。

これは、悪いことではありません。

自分の身体を大切にしたいから、調べて、試して、また足す。
その気持ちは、とても自然なものだと思います。

ただ、ひとつだけ、見落としやすいことがあります。

対策を同時にいくつも足すと、
身体が「何に」反応しているのかが、分からなくなりやすいのです。

サプリメントも、漢方も、運動も、食事法も、
同じ日にまとめて始めてしまうと、

調子が変わっても、
何がきっかけだったのか、たどれなくなります。

疲れているときほど、私たちは早く答えがほしくて、
つい、対策の数を増やしてしまうのかもしれません。

最初に増やしたいのは、対策ではなく観察

ここで、順番を少しだけ入れ替えてみます。

足す前に、並べる。
決める前に、観察する。

何かを始める前に、まず、いまの身体を並べて眺めてみる。

たとえば、3日ほど、こんなことを書き留めてみるだけでも、見え方が変わってきます。

  • 疲れが強く出る時間帯
  • 食後の眠気や、胃腸の重さ
  • 便、尿、汗、むくみの様子
  • 朝起きたときの、回復した感じ
  • 最近変えた生活(食事、仕事、運動、睡眠、気候、人間関係など)

紙でも、スマホのメモでも構いません。

数字を出す必要も、正解を出す必要もありません。

ただ、いまの身体を、いちど言葉にして並べてみる。

それだけで、「なんとなく疲れている」が、
少しずつ、輪郭を持ってきます。

疲れと一緒に見たい、身体のほかの反応

疲れを見るとき、私は「疲れ」だけを見ないようにしています。

疲れは、身体からのサインの、ほんの一部だからです。

疲れの周りには、たいてい、ほかの反応も出ています。

先ほど書き留めた項目に加えて、
眠りの深さ、呼吸の浅さ、
気分や、緊張のしやすさも、一緒に見ていきます。

これらは、バラバラに見えて、
どこかでつながっていることがあります。

たとえば、食後の強い眠気が続くとき。
私は、疲れだけを見て終わらせず、
食事の量や内容、胃腸の重さ、睡眠、便や尿、
最近の生活リズムの変化などが重なっていないかを、
一度並べて見るようにしています。

原因を一つに決めるためではありません。

次に何を見直すか。
あるいは、医療機関や薬剤師に何を伝えるか。
それを整理するために、身体の反応を重ねて見ていくのです。

むくみがあるときも、
ただ水分だけを見ればよいとは限りません。
茯苓から、身体の水分や胃腸の状態を一緒に見る視点について書きました。

あわせて読みたい むくみがあるからと、水を抜けばいいわけではない。茯苓から考える、身体の見方

「疲れ」として片づけない方がよいとき

ここまで、疲れを自分で観察することの話をしてきました。

ただ、疲れの中には、
自己整理だけで様子を見ない方がよいものもあります。

たとえば、

  • 急な息切れ、呼吸困難
  • 胸の中央が締め付けられるような、または圧迫されるような痛みが数分続く
  • 意識がぼんやりする、または普段と明らかに様子が違う
  • 顔の片側が動かしにくい、ろれつが回りにくい
  • 突然、片方の腕や足に力が入りにくい

といった症状があるときは、
「疲れ」として様子を見る場面ではありません。
迷わず119を検討してください。

救急車を呼ぶべきか、すぐに受診すべきか迷う場合は、
お住まいの地域で利用できる場合に限り、#7119などの救急相談を利用できます。

厚生労働省も、急な呼吸困難や胸の圧迫感、意識がおかしい、
ろれつが回らない、片側の手足に力が入らないなどを、
救急車を呼ぶ目安として示しています。

厚生労働省「こんな時は迷わず119へ」

また、強い疲れや急な疲れで、
生活に支障が出ているときも、
自己整理だけで済ませず、医療機関へご相談ください。

観察は、医療の代わりではありません。

必要なときに、必要な場所へつながるための、手前の一歩です。

7月は、疲れを一つに決めない月にする

疲れの原因を、

「気合いが足りないから」
「年齢のせいだから」
「栄養が足りないから」

と、ひとつに決めてしまうと、そこで観察が止まります。

この7月は、疲れを一つに決めない月にしたいと思っています。

胃腸、水分、睡眠、気力。

いくつかの見方を重ねながら、
自分の身体が、いまどこで回復と消耗の釣り合いが崩れているように見えるのかを、
ゆっくり整理していく。

次回は、その中でも、夏に弱りやすい胃腸に目を向けます。

「食べているのに疲れるのはなぜ? 夏に弱りやすい胃腸の見方」

食べているのに疲れる、という感覚の奥にあるものを、
一緒に並べて見ていきます。

よくある質問

Q. 疲れたときにサプリメントや漢方を使うのは、よくないことですか?

いいえ、そういう話ではありません。
サプリメントや漢方薬が必要な場面もあります。
ただ、すでに処方薬、市販薬、サプリメント、漢方薬などを使っている場合は、
自己判断で複数を重ねたり、増減したりせず、
医師または薬剤師に相談してください。
新しく何かを始めるか考える前に、
いまの疲れ方や身体の反応を数日メモしておくと、
相談するときにも状況を伝えやすくなります。

Q. まず、何から始めればいいですか?

対策を増やす前に、数日だけ、身体の反応を並べて眺めてみてください。
疲れの出る時間、食後の様子、睡眠、便や尿、むくみなどをメモするだけで十分です。

Q. 病院に行く目安はありますか?

急な息切れや呼吸困難、胸の締め付けられるような痛み、
意識がぼんやりする、ろれつが回りにくい、片側の手足に力が入らないなどがあるときは、
迷わず119を検討してください。
生活に支障が出るほどの強い疲れも、医療機関へご相談ください。

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この記事を書いた人

小島 義教

薬剤師/中西医統合実践家

薬剤師として20年以上、総合病院前の薬局や在宅医療の現場で、多くの方の健康相談に関わってきました。

自身が薬剤性肝障害を経験したことをきっかけに、健康法を増やす前に、まず今の身体で何が起きているのかを整理する「体質整理」という考え方を大切にしています。

現在は文海先生とともに、血液データ、生活背景、睡眠、食事、便や尿などの日々の身体の反応を重ねながら、身体を一つの症状だけで決めないための中西医統合の視点を発信しています。

このブログでは、薬剤師としての知識だけでなく、自分自身の体質ログや迷い、臨床で学んだことも交えながら、身体を責めずに次の一歩を考えるためのヒントをお届けします。

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