──栄養の量だけでは見えない「受け取れる状態」とは
食べているのに、なぜか疲れる日
ちゃんと食べている。
野菜も食べている。
海藻も意識している。
身体に良いとされるものも、選んでいるつもりです。
それなのに、こんな朝があります。
前日はきちんと食べて、眠る時間も取ったはずなのに、起き上がったとき、身体が重い。
回復した感じがしない。
食後に眠くなったり、お腹が張ったり。
一日を通して、身体の重さが抜けない日もあります。
私自身、体質ログを続ける中で、似たような反応を何度か記録してきました。
「これだけ気をつけているのに、なぜだろう」
そう思う朝が、確かにあります。
食べていることと、回復できていることは、どうやら同じではないようです。
疲れたときほど、「足りない」と考えてしまう
疲れたとき、人はまず「足りないもの」を探しがちです。
栄養が足りない。
睡眠が足りない。
気力が足りない。
何かを補わなければいけない。
この考え方が悪いわけではありません。
実際に、栄養や睡眠が足りていないこともあります。
ただ、私は最近、その前に一度立ち止まるようになりました。
足りないものを探す前に、今の身体が食べたものをどう受け取っているか。
まず、そこを見てみる。
「足す前に、まず身体を整理する」という考え方については、以前こちらに書きました。
関連記事 疲れたとき、最初に増やすべきものは「対策」ではない妻との外食の翌朝、身体が返してきた反応
ある日、妻と外食をしました。
パスタやソテー、ソーセージなどを食べ、最後にプリンを楽しみました。
好きなものを、ゆっくり食べる。
夫婦にとって、大切な時間です。
その時間が楽しかったことは、間違いありません。
ただ、翌朝の体質ログには、いくつかの反応が一緒に記録されていました。
耳の閉塞感は10段階で6。
後鼻漏も6。
お腹の張りは4、ガスは8。
その朝は便通がなく、体重も前日より0.4kg増えていました。
※10段階の数字は、0を「感じない」、10を「最も強く感じる」として記録した、私自身の体感です。
耳や鼻だけでなく、お腹、ガス、便通、体重まで、同じ朝に反応が重なっていました。
もちろん、耳や鼻の反応を、食事や胃腸だけで説明できるとは考えていません。
睡眠、呼吸、環境、身体の動きなど、ほかの条件も重なります。
ここで見ているのは原因ではなく、同じ時期にどのような反応が並んでいたかです。
大事にしたいのは、「何が悪かったか」ではありません。
楽しい食事だったこと。
翌朝に身体の反応が残っていたこと。
その二つは、どちらかを否定しなくても、同時に存在していました。
食べたものが原因だと決めつけたいわけでもありません。
ただ、「食べた後、身体に何が起きたか」を静かに見ておく。
私にとっては、それだけのことでした。
東洋医学で見る「脾胃」という流れ
東洋医学に、「脾胃」という言葉があります。
これは、西洋医学でいう胃だけを指す言葉ではありません。
東洋医学では、食べたものを受け取り、身体の力へ変え、余分なものをさばいていく一連の働きを、この言葉で捉えてきました。
食欲や食後の眠気、お腹の張り、便、むくみ、翌朝の回復感などを、別々に切り離さず眺めていくための見方です。
私自身も、食べた内容だけでなく、食後から翌朝までの、こうした反応まで見なければ、その日の身体の様子は分からないと感じるようになりました。
この記事でいう「受け取れる」とは、特別な能力を指す言葉ではありません。
食後から翌朝にかけて記録された、眠気や張り、便、むくみ、身体の重さなど、複数の反応をまとめて表した言葉です。
「脾胃」も同じで、検査や診断の代わりになるものではありません。
日々の身体の反応を整理するための、一つの補助線です。
食後に見たい7つの反応
食事は、口に入れた瞬間ではなく、食後から翌朝までの反応で見えてくることがあります。
私が体質ログで見ているのは、たとえばこの7つです。
- 食後に眠くなるか
- お腹が張るか
- 胃が重くなるか
- げっぷや胃もたれがあるか
- 便が変わるか
- むくみやすくなるか
- 翌朝の身体が重くなるか
これは診断表ではありません。
この項目で、自分に病名をつけたり、証を決めたりするためのものでもありません。
ただ、「今日の身体は、この食事をどう受け取ったのだろう」と、あとから振り返るための静かなメモです。
身体は、全部が一緒に変わるとは限らない
体質ログを続けていると、気づくことがあります。
身体は、全部が一緒に変わるわけではない、ということです。
ある朝、便通が良くなり、全身のだるさは10段階で0になっていました。
頭痛や、腰・股関節の痛みも消えていました。
けれど、その同じ朝、耳の閉塞感は左が5、右が6。
白く少し粘る後鼻漏も残っていました。
身体の一部が軽くなっても、すべての反応が一緒に変わるとは限らなかったのです。
別の日には、こんな記録もありました。
睡眠時間は8時間29分。
睡眠効率は94%で、睡眠アプリの評価は100でした。
数字だけを見れば、よく眠れた朝に見えます。
しかし、私自身の体感では、両耳の閉塞感が6、後鼻漏が6、頭のぼんやりが5残っていました。
睡眠時間やアプリの評価が良かったことと、身体のすべてが回復していること。
それも、必ずしも同じではありませんでした。
※睡眠の数値は、Apple Watchや睡眠アプリで記録した参考値です。医療的な診断や判断に使用したものではありません。
だから私は、一つの指標だけで身体を読まないようにしています。
睡眠時間だけ。
食べた内容だけ。
便だけ。
体重だけ。
耳や鼻だけ。
ではなく、いくつかの反応を並べてみる。
並べたからといって、すぐに答えが出るとは限りません。
ただ、一つの症状や一回の食事だけで、原因を決めつけずに済みます。
夏は、身体の負担が重なりやすい
夏は、いくつかの条件が重なりやすい季節です。
暑さ。
冷房との温度差。
汗。
水分の摂り方。
食事の変化。
外食の機会。
睡眠の質。
こうしたものが、同じ時期に重なります。
だからといって、冷たいものや甘いものを、悪者にしたいわけではありません。
冷たいものを禁止する話でもありません。
季節もまた、身体を眺めるときの一つの条件です。
疲れが強いときには、身体がそれをどう受け取っているかを、あわせて見ておく。
それくらいの距離で付き合えたらと思っています。
「何を食べるか」より前に、「どう反応しているか」
健康の情報では、
何を食べるか。
何を避けるか。
何を補うか。
そうしたことが、よく語られます。
それ自体は、大切なことだと思います。
ただ、
何を食べたか。
食後にどうなったか。
便はどうだったか。
むくみはどうだったか。
翌朝に回復していたか。
そこまで見なければ、今の自分の身体が、その食事をどう受け取ったのかは分かりません。
私の体質ログでは、似たような食事でも、食後の反応が同じとは限りませんでした。
眠くなる日もあれば、そうでない日もある。
お腹が張る日もあれば、目立たない日もある。
だから、食べたものの善し悪しを決める前に、食べた後の身体を並べてみる。
足す前に、並べる。
決める前に、観察する。
食事も同じです。
「食べたい」と「受け取れる」は、同じなのか
体質ログを続ける中で、私はある問いを持つようになりました。
以前、ログにこう書いたことがあります。
「脳が食を欲しているのと体が欲しているのが違う」
これは医学的な事実として言い切ったものではありません。
当時の私が、自分の食欲や身体の反応を観察する中で感じたことを、そのまま書いた言葉です。
食べたいという感覚には、空腹だけでなく、味や楽しさを求める気持ちも重なっているのではないか。
「食べたい」と感じることと、今の身体が心地よく受け取れること。
それは、本当に同じなのだろうか。
これは、食欲を否定したいわけではありません。
楽しい食事も、家族との食事も、心の栄養です。
それは、これからも大切にしたい。
だからこそ、食べるか、食べないかという二択ではなく、食べた後の身体を見て、次の一歩を考える。
そんな向き合い方をしたいと思っています。
強い疲れ、長引く疲れは、医療へ
ここまで、身体を観察するという話をしてきました。
ただ、観察は医療の代わりではありません。
次のようなときは、早めに医療機関へご相談ください。
- 急に、強い疲れを感じる
- 息苦しさがある
- 胸の痛みがある
- 発熱が続く
- 意図しない体重の減少がある
- 黒い便(黒色便)や、血の混じった便が出る
- 強い腹痛がある
- 食事がうまく取れない
- 疲れが長引き、日常生活に支障が出ている
観察は、必要なときに医療へつながるための、手前の一歩でもあります。
次回は、補中益気湯について
疲れたとき、「補う」という言葉は魅力的に聞こえます。
補うという選択が、必要な場合もあります。
ただ、「疲れたから補う」だけでは、その疲れ方に何が重なっているのかを見落とすことがあります。
その疲れは、どんな疲れなのか。
食後に、身体はどう反応しているのか。
便やむくみはどうか。
そうしたことも、あわせて見ておきたいと思っています。
次回は、疲れた人の漢方として知られる補中益気湯を、「元気が出る漢方」という一言で終わらせずに考えてみます。
身体を整理する、はじめの一歩
健康法を増やす前に、
身体を整理する考え方を知りたい方へ。
Self Hack Labでは、
「何を足すか」よりも先に、
今の身体で何が重なっているのかを整理するための
「はじめての方へ」ページを用意しています。
もう少しじっくり学びたい方には、
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※本内容は診断や治療を目的とするものではなく、身体の見方や考え方を共有するものです。体調不良がある場合は医療機関へご相談ください。
※本文中の記録は、著者一個人の体質ログをもとにしたものです。特定の食事や方法の効果を示すものではありません。

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